2020年04月


ふと押入れを覗いて、段ボール箱の中に入れたままのアルバムを手に取った。

一番上にあったのは、実家から幾つか選んで持って来た写真だ。

生後間もない頃から七五三、高校の入学式や独身時代など、年代がばらばら。

その中に、数枚まとめてポケットに入れてある写真があった。

私が一人暮らしをしていた頃、マンションの部屋の中で、ソファに座ってくつろいでいる写真。

そう、、、彼との思い出の部屋。

まるで新婚生活のような、蜜月を過ごした頃の写真だ。

「あぁ、これ、あったんだ!」

結婚する前に、捨てたとばかり思っていた。

彼が撮ってくれた写真は(ヌード写真を除いて)、これしかないと思う。

嬉しくて泣けてきた。

そう言えば、つい先日も「あの写真、残ってたらなぁ」と思い出したばかりだった。




ちょうど30年前。

日付も覚えている。

8月17日、お盆休み。



彼が4月に転勤してしまって、

それまでは毎日、職場でも私のマンションでも会っていたのに、会えなくなって。

電話で声を聞くくらい。

彼と離れてしまって、私は鬱が急激に悪化した。

だからこの頃、彼といつ、どのくらいの頻度で会っていたか?

記憶が無い。



寂しさが募って、いつもの悪い癖で想いが爆発して、彼に当たってしまった。

「旅行に行こうって約束したくせに、
いつ連れて行ってくれるのよ。

お盆休みに、絶対連れてって!」



確か、お盆の1~2週間前だった。

急に言い出したにもかかわらず、

彼は無理して、約束を果たしてくれた。



旅行の出発前に、私のマンションの部屋で撮った写真。

ソファ、テーブル、カーテン、家具、ドア、鏡、置き物、間取り・・・。

何もかもが懐かしく、思い出が溢れてくる。

そして私の生意気そうな顔。

そう、この頃は怖いもの知らずで、彼に対しても横柄な態度をとってたな。

今じゃ、彼が離れてしまいそうで、自信がなくて、彼の顔色を伺ってるよ。




車で2時間くらいドライブして、海辺のレストランでランチした。



湖のある公園に寄った。

駐車場で数枚、

湖のほとりで白鳥と戯れてる写真も。

これが、彼の目を通して見てる、

私の姿、表情。


そう思うとますます、これらの写真がいとおしくなる。

今度、彼に会った時に、写真を撮ってもらおうかな。




公園から1時間くらい山奥へ進んで、温泉街に着いた。


写真は食事中のもの。

浴衣を着て、テーブルにはたくさんのご馳走が並んでいる。

ご機嫌な表情の私が写っている。

まだ21歳だもの。若いなぁ。



この時の私に言ってあげたい。

30年後も、彼と温泉旅行に行くよ。




この時、どんなに彼に愛されている自信があったとしても、

30年後も愛し合っているとは、想像できなかっただろう。




















どのような事態になろうとも、その事を行うさま




どんな事があっても

何としてでも

どんな事があったとしても

何があったとしても

どうあっても

何が起こっても

何が起こったとしても

地球がひっくり返っても

天変地異が起きても







「何があっても、5月は久美ちゃんに会うよ」

と彼は言ってくれました。




こんなご時世だからこそ

「何があっても」という言葉が、

心に響きます。



この言葉を胸に、GWを乗り切ります。

































ほとんどの世の恋人達が、

今は会いたくても会えない状況に

なっていると思います。



私達もご多分に漏れず、今月のデートは

見送りました。


もし、何かあれば

「社会的制裁」が待っています。


それだけは、避けないといけません。




彼は最近、人事が行われたらしく、

「イライラしてるので、会った時に話を聞いて」

と、私に会うことを楽しみにしている様子でした。


なので今日、デートのスケジュールを

話し合う電話でも、30分くらい、

ほとんど彼の話を聞いていました。



やっと私が口を挟んで、

「一つだけ聞いて」


実は5月に職場環境が大きく変わることになり、

先日、業務分担を話し合ったのですが、

ほとんど減らないばかりか、

逆に増えそうな様子。



結局、彼も私も

「同じことで悩んでるんだね」

と苦笑し合いました。





少し間があって、ふと彼が

「会いたい」

と、つぶやきました。



「私もだよ」





電話を切った後も、

幸せな気分で満たされています。
















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