お昼休みに彼から珍しく電話。

かなりの鼻声で、声もガラガラ。

風邪がぶり返したみたい。

明日のデートは再延期。

食欲も◯欲もあって元気なのに、とにかく鼻水鼻詰まりと喉の痛みが酷いんだって。

「今日の午後にでも病院へ行ったら?」
と言うと、

「うちの奥さんと同じこと言うんだな」
だって。

「ずっと髭を剃ってないから、今日行くのは面倒」
って、訳わからないこと言うのね。



結局、28か29日に延期。
私は帰郷した同級生と会うとでも言って、アリバイを作ろう。

まぁ、本来の明日がデートだったら、仕事納めの前で、忙しくなるなと思ってたから、ちょうど良かったかな。


彼はとにかく体調を万全にして、ベストコンディションで私との一戦を交えたいそうです。


あーぁ、早く会いたいな。


用意していたおやつを、また一人で食べるハメになりました。

ネイルもさっき、塗り直したのにな。残念。











今日の午前中、彼に確認をとった時、喉が痛いと言ってました。

明日、3週間ぶりのデートの予定でした。



さっき22時30分頃、彼からメールがきました。こんな遅い時間に、悪い予感しかしません。
熱も出始めたから、来週に延期したいと。

いいよ、大丈夫だよ。お大事にね。と返信したものの、やっぱりショック。

寝れなくなっちゃった。で、アイス食べてます。


デートの前はネイルしたり、ボディケアとか、彼と一緒に食べるスイーツの手配とか、アリバイ作りとか、いろいろあって割と大変なんです。

本来なら明日の仕事は半休を取るはずだったけど、なんとなく予感がして、上司に連絡するのを保留にしてました。

良かった。休むと言っておいて、出勤に変えるのは難しいから。



来週のほうが天候も良いしね。

今日まで頑張ってたダイエットも、あと1週間延長だ。


でも年内に会えるから、良かった。

今年最後のデート、楽しみです。














ホテルの部屋に入るなり、彼は私の身体を引き寄せ熱いキスを何度も交わした。

「そう簡単には、別れられないよ。」

絞り出すように、でも強い意志が感じられる声だった。



もう20年以上前、彼が私の住む県に異動になった時、私の母から唐突に質問された。

「あなた、佐藤さんって人知っているでしょ?」

「あぁ、◯◯の所長の佐藤さんのこと?」

私は咄嗟に同姓で別の事務所の佐藤さんを持ち出して、とぼけてみせた。

母は「今度、こっちに転勤してくるそうよ」

とだけ言い、それ以上、追求してこなかった。

誰かが、私と彼との仲を、母に告げ口したんだと思った。

当時、私は結婚していて娘もまだ小さかった。

母の苛立った声と表情は、私を悲しくさせた。

母はある団体の役員を務めていて、顔も広い。

何よりプライドを傷つけられることが大嫌いだ。

娘が不倫していることを外から聞かされ、さぞかし頭にきたことだろう。

私の心配というより、世間体が大事な母は、自身をおとしめる私の存在が憎いのだ。

「なんて事してくれるのよ!」とでも言いたいのだろう。




今回のこともまた、母を取り巻く誰かが耳に入れたのか?

全く見当が付かない。

「あの二人、まだ続いているのよ」




だから、何だって言うのよ。

私がそれで、誰かに迷惑を掛けてきた?

私は彼の存在のおかげで、これまでの人生、いろいろあったけど乗り越えてくることが出来たんだ。

迷惑を掛けるどころか、そのおかげで頑張ることが出来て、家庭のことも仕事もやってこれた。

ただただ、二人のことが周りにバレないように、それだけは肝に銘じてきた。

それはバレたら二人の関係が終わってしまうという恐怖もあったけど、それ以上に、周りの家族や知人を悲しませたくない、傷つけたくない一心だった。


「お願いだから、二人のこのひと時だけは許して。」

いつもそんな祈るような気持ちで、彼と会ってきた。


母になんと思われようと、私は彼と居ることが幸せなんだ。

母の取り巻き連中のことなんて、私はどうだっていい。

あなた達が私を幸せにする事なんて、出来ないでしょ。

母だって「あんたは地獄に落ちる」なんて遠回しに言わないで、「誰々から聞いたんだけど、佐藤さんと本当にお付き合いしてるの?」と単刀直入に聞いてくれたら、私は真っ向から否定して、母を安心させてあげたい。

娘より、他人の言う事を聞くような母だから、それは無理だろうけど。



彼は「俺は地位も名誉もなげうって、久美ちゃんを選んだんだ。その事をこれっぽっちも後悔してないし、これからもずっと久美ちゃんを離すつもりはない。」

と言ってくれた。

私が彼を想うより、ずっとずっと深く愛してきてくれたんだ。

なんだか私、自分のほうが彼を愛してると思ってて、佐藤さんの想いをちゃんと受け止めてなかったんだ。ごめんね。



今回のことで、彼と私の絆はより強くなった。

お互いの気持ちを再確認できた。

「別れることなんて出来ない」

今までも当然の事として思っていたけど、

彼もそう思っていてくれた事が、確信に変わった。











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